はじめての「自分のための旅」知床・網走・阿寒4日間の思い出

📅 訪問日:2018年2月上旬
実はこの旅は、私にとって「自分のための最初の旅行」でした。
前年に乳がんで左胸の全摘手術を受け、3番目の子供も免許を取ったことで子育てもひと区切り。
「これからは少し自分のために時間を使ってもいいのでは?」と、自分に問いかけてみました。
その最初の答えが――「流氷を見てみたい」。
そうして計画したのが、北海道・知床と網走、阿寒をめぐる4日間の旅でした。
1日目 羽田→女満別→網走→知床へ
今回の旅はHISのフリーのツアーです。
羽田からAir Doで女満別空港へ。女満別空港から網走へ移動し、どうしても立ち寄りたかった網走刑務所へ。残念ながら時間的に中に入って見学まではできませんでしたが、正門の前で記念写真を撮るだけでも雰囲気が十分伝わってきます。雪景色の中に佇む赤レンガの門はどこか重厚で、歴史を感じさせました。
敷地内にある売店には、受刑者の方々が作成した木工品や日用品が並んでおり、質の高さに驚かされます。実際にお土産を購入しましたが、しっかりした作りで実用的、しかもここでしか買えないという特別感もあり、良い記念になりました。観光としても人気の場所ですが、こうした体験を通して「網走刑務所」という場所が単なる観光名所ではなく、歴史や現在を考えるきっかけにもなるのだと感じました。
北こぶし知床 ホテル&リゾート
(※以下の内容は2018年の滞在記録です。現在はリニューアルされており、館内やサービス内容は当時と異なる場合があります。最新の情報は公式サイトをご確認ください。)
ロビーは北国らしい温かみのある雰囲気で、北欧風の飾りや木組みのトナカイ、木彫りの熊の柱、さらに動物の形をしたかわいいスツールなどが並び、とても心地よい空間でした。大きな窓からは一面に冬景色が広がり、到着した瞬間から「知床に来たんだ」と実感。部屋は最上階の角部屋で、とても広く、オホーツク海を一望できました。夕暮れの海と流氷が織りなすコントラストは、今でも心に残るほどの絶景でした。
知床流氷フェスへ
夕食のバイキングを楽しんだあとは、外で開催されていた「知床流氷フェス」へ。
このイベントは冬の夜を彩る幻想的なお祭りで、ライトアップされた会場に入った瞬間「わぁ…!」と声が漏れてしまいました。
会場には大きな氷のかまくらのような建物がいくつも並び、光に照らされてブルーやオレンジに輝いていました。氷の壁を通した光はとても柔らかで、昼間とはまったく違う世界にいるような感覚。
かまくらの中に入ると、ひんやりとした空気と氷特有の静けさに包まれて、まるで別世界。氷の彫刻や、流氷をイメージしたアートも展示されていて、カメラを構える人があちこちにいました。
私も夢中でたくさん写真を撮りました。氷と光が織りなす空間は、写真ではなかなか伝わらない迫力があって、本当にその場にいられて幸せだなと感じました。
また、テント内ではガイドさんから知床や流氷にまつわるお話を聞くことができ、自然と人との関わりの大切さも感じる時間に。寒さは厳しかったけれど、身体も心も温まる素晴らしい体験でした。
2日目 原生林スノーシュートレッキング
午前は「フレぺの滝」方面へのスノーシュートレッキングに参加しました。スノーシューを履くのは初めてで、最初は歩き方に少してこずり、ぎこちなく一歩一歩進みます。でも慣れてくると、雪の上をサクサクと軽快に歩けるようになり、その感覚がなんとも心地よいんです。
一面の銀世界に足を踏み入れると、音が消えたような静けさの中に自分たちの足音だけが響きます。途中、ガイドさんが教えてくれたキツネとネズミの追いかけっこの足跡、クマが木登りをした爪痕など、まさに大自然のドキュメンタリーを目の前にしているようでした。
知床は世界自然遺産に登録されているだけあり、人の手がほとんど入っていない原始の姿がそのまま残っています。雪に覆われた原生林の中を歩いていると、自分が小さな存在に思えて、自然の偉大さを強く感じました。遠くには鹿の親子の姿も見えて、知床の自然の豊かさを実感。
目的地のフレぺの滝に着くと、滝そのものが氷結していて、白と青が織りなす神秘的な景色に息を呑みました。約2時間のトレッキングでしたが、普段の生活では絶対に味わえない「知床ならではの自然の力強さ」を肌で感じられる体験でした。
昼食はウトロの旅の駅で「イクラとサーモンの親子丼」。宝石のようなイクラの輝きにしばし見惚れました。 旅の駅のトイレを借りた際、壁に面白い注意書きがありました。『魚などを洗う』北海道っぽい?
午後は流氷ウォークの予定でしたが、流氷が接岸しておらず、別コースのスノーシュートレッキングに変更。
今度は少し北側に向かうコースで、歩き始めるとすぐに視界が開け、背後には雪化粧をした羅臼岳が雄大にそびえ立っていました。その姿はただの山ではなく、まさに「知床のシンボル」。白銀の大地に堂々と構える羅臼岳を前にすると、北海道のスケールの大きさを全身で実感しました。
途中、ガイドさんに「知床で一番いい季節はいつですか?」と尋ねてみました。すると迷わず「5月ですね」との答え。桜と新緑が一度に楽しめる特別な季節だそうです。その話を聞いて、冬の壮大な雪景色も素晴らしいけれど、次は春に訪れて、知床の新たな表情をぜひ見てみたいと思いました。
午後のコースは午前よりも距離が長く、体力的には少し大変でしたが、それ以上に得られる感動が大きく、知床の奥深さを改めて感じるひとときとなりました。
帰りにはサンセットポイントで夕日を鑑賞。気温はマイナス5度、寒さで顔が痛くなるほどでしたが、赤く染まる空と海は一生忘れられない風景です。
3日目 網走・おーろら号で流氷観光
朝食後、チェックアウトをすませ宿を後にしバスに乗り込みました。
途中停車してくれた「オシンコシンの滝」で写真撮影をしてから、網走に向かいます。
網走到着後、流氷観光砕氷船「おーろら号」に乗船しました。港から出航して間もなく、海一面に流氷が広がる光景が視界いっぱいに飛び込んできます。白く輝く氷の大地のようで、思わず「ここは本当に海の上なの?」と錯覚するほど。
そして、よく見ると流氷の中には白だけではなく、ほんのりブルーに見える部分も。これは氷の中の気泡が少なく、長い年月をかけてぎゅっと圧縮された氷ほど青みを帯びて見えるからなのだそうです。まるで宝石のような氷の青は、写真では伝わりきらない神秘的な美しさでした。
デッキに出ると冷たい風が容赦なく吹きつけてきましたが、それ以上に目の前の大迫力に夢中になってしまい、寒さも忘れるほどでした。
下船すると、桟橋には実際に砕氷された大きな塊が置かれていて、間近で触れることもできました。手で触ると驚くほど冷たく、遠くのオホーツク海から長い旅をしてきた氷なんだと思うと、なんだか特別な感慨があります。水平線まで広がる流氷はまさに白い大地。船尾に置かれていた流氷を実際に触ってみると、冷たさ以上に「地球の鼓動」のようなものを感じました。
その後は摩周湖に立ち寄り、自然の美しさを堪能。
夜は阿寒湖畔のニュー阿寒ホテルに宿泊。
夕食バイキングではカニの食べ放題やイクラのかけ放題と北海道ならではの食材がたくさん並んでいました。
夕食後はこの時期限定で『冬華火』が開催されます。
寒さを避けて部屋から花火を眺めましたが、ちょうど目の前の大きな木があり、少し残念。
4日目 阿寒湖・釧路湿原を経て帰路へ
朝食前に阿寒湖で「フローフラワー探しツアー」に参加しました。
氷の上にできる神秘的な花模様を探しましたが、この日は残念ながら見つけられず…。それでも凍てつく湖を歩いた時間は貴重な体験でした。
遅めの朝食をいただいた後チェックアウトして宿を後にしました。
本日はタクシー移動です。タンチョウサンクチュアリで丹頂鶴を見学。沢山の丹頂鶴がいて見事でした。
タンチョウは渡り鳥で大陸に分布する種と、日本のように一生同じ地域で暮らす種がいますが、日本のタンチョウは渡りをしません。明治時代に一度絶滅したと思われたものの、その後再発見され、地元の人々の保護活動や国の事業によって生息数が増加し、現在では北海道で越冬する 非渡り鳥として定着しているそうです。
その後は釧路湿原展望台へ。雪が降っていて遠くまでは見渡せなかったものの、雄大な自然を少しだけ感じることができました。
そのまま釧路空港へ向かい、旅は終了です。
この旅を振り返って
3人の子育て27年。パートから正社員として8年。
がむしゃらに子育てと仕事に走り続け、病気を経てようやく「自分のための時間」を持つことができました。
大きな自然に触れたこの旅は、「これからは自分をもっと大切にして生きていこう」と決意するきっかけになりました。
今思えば、この旅行があったからこそ、その後の旅好きな私の原点になったのだと思います。
✦ 8年前でも色褪せない、私の大切な旅の思い出です。
🌸 おすすめの時期
- 冬(2月~3月)
→ 流氷シーズンのベスト。おーろら号や流氷ウォーク、スノーシュートレッキングなど「冬ならでは」の体験ができます。空気が澄んでいて、オオワシやオジロワシなど野鳥も見やすい季節。 - 春(5月頃)
→ ガイドさんおすすめの季節。桜と新緑が同時に楽しめ、まだ残雪が美しい知床連山と一緒に絶景が広がります。野生動物の活動も活発になる時期。 - 秋(10月頃)
→ 紅葉が山から海へと下りていく様子が美しく、摩周湖や阿寒湖も秋色に染まります。
🎁 おすすめのお土産
- 網走刑務所関連
→ 受刑者が作った木工品や小物はここでしか手に入らない特別な品。実用的で質も高いのが魅力。 - 知床・網走エリア
- 流氷ドラフト(青みがかったビール、流氷をイメージした地ビール)
- オホーツクの海産物(ホタテ、鮭とば、イクラの醤油漬け)
- 阿寒湖エリア
- アイヌ工芸品(木彫りの熊、アクセサリー、文様入りの小物)
- 釧路エリア
- タンチョウをモチーフにした和菓子や雑貨
- 阿寒湖まりも羊羹(有名なお土産、割るのが楽しい!)
⚠️ 冬の道東旅行での注意点
- 防寒対策は徹底的に
- 気温はマイナス10℃前後、風が吹くと体感はさらに低くなります。
- ネックウォーマーや目出し帽、ゴーグル、使い捨てカイロは必須。
- 靴は防寒仕様で滑り止め付きがおすすめ。
- 移動時間を余裕を持って
- 道東は広大で、主要観光地の移動は数時間単位。
- 冬は雪道・凍結道路で予定通りに進まないことも多いため、無理のないスケジュールを。
- 交通手段の確認をしっかり
- バスや電車は本数が少なく、冬は運休や遅延もありえます。
- ツアー参加や送迎付きプランを利用すると安心。
- カメラ・スマホのバッテリー消耗が早い
- 寒さであっという間に電池が減ります。予備バッテリー必携。
👉 まとめると、冬の知床・網走・阿寒湖の旅は「防寒」と「時間の余裕」が最大のポイント。
春や秋にまた違う表情を見せてくれるので、リピーターが多いのも納得です。