世界自然遺産の島・小笠原諸島へ|父島・母島で出会った感動体験記

📅 訪問日:2023年3月上旬
出発|竹芝から小笠原丸で24時間の船旅
小笠原諸島へ行く唯一の交通手段が 小笠原丸(通称:おがさわら丸)。
だいたい6日に1回、東京・竹芝から出航します。
チケットは出航の2か月前に発売開始。特等室や特1等室などの個室は特に人気で、発売と同時に売り切れることも多いです。今回は運良く 特等室を確保!出航が待ち遠しくてたまりませんでした。
当日は11時出航。約1時間前に竹芝港へ到着。
靴裏を洗浄してから乗船します。これは外来種持ち込みを防ぐための大事なルールです。
特等室の設備
- ベッド
- ソファ・机
- テレビ・冷蔵庫
- お風呂&トイレ
- 専用デッキ
さらに、特等客専用のラウンジもあり、マッサージチェアやコーヒーサーバーが使えます。
船内はコンパクトで移動しやすいのも安心ポイント。
いよいよ出航!東京湾を抜けると、見渡す限り360度の海。ここから 脱デジタルの24時間 が始まります。
1日目|揺れとともに過ごす船旅
我が家は絶叫系が大好き。そのため船の揺れも「ずっとジェットコースターに乗っているみたい」と意外と楽しめました。
ただし、客室通路や船内のあちこちにはビニール袋が吊るされていて…実際に青ざめた顔で歩いている方もちらほら。船酔いには要注意です。
揺れる中でのお風呂はなかなかのチャレンジでした。
やることも少ないので、テレビを見たり昼寝をしたり、のんびり過ごして夜は早めに就寝。
2日目|父島に到着!島内観光と「風土の家 てつや」
昼前にようやく 父島に到着。降りる際も靴裏の洗浄をします。港では宿の方々がお迎えに来ていて、南の島らしい賑やかな雰囲気でした。
今回の宿は「風土の家 てつや」。
港まで迎えに来てもらい、大きな荷物を預けたら、さっそく午後の観光へ。
昼食と島内散策
まずは港近くで腹ごしらえ。チャレンジで頼んだ カメ丼 は…正直私には合いませんでした(笑)。でも旅の経験としては良い思い出。
午後は「ポラリス」さんの島内散策ツアーに参加。約3時間、主要スポットを回ります。
透き通る海に沈む戦争遺跡の船、島全体がビューポイントのような絶景…。到着したばかりなのに、すでに小笠原が大好きになりました。
大神山神社にも立ち寄り、御朱印をいただいてツアー終了。
宿・風土の家 TETSUYAさん
チェックインしてお部屋へ。広くて清潔で、とても素敵!
お風呂は全面ガラス張りで、自然に包まれている気分。テラスや洗濯機、バルミューダの調理器具まで揃っていて驚きました。
夕方は近くを散歩。鶏が放し飼いになっていたり、少し歩くと小港園地、そして小港海岸へ。
さらに奥を目指し山を登ると――待っていたのは想像をはるかに超える絶景でした。
目の前に広がるのは、エメラルドグリーンの海と真っ白な砂浜。上から眺めると、小港海岸がまるで絵画のように広がり、その透明度の高さに息をのむほど。波打ち際のグラデーションも美しく、南の島らしい鮮やかな青が視界いっぱいに広がります。
この瞬間、「ここまで来て本当に良かった」と心から思いました。小笠原はどこを切り取っても絶景ですが、小港海岸を上から眺めた景色は、この旅で一番心に残ったシーンのひとつです。
夕日を見ながら宿へ戻ると…待っていたのは噂通りの絶品夕食!
宿泊者だけでなく、島の方も食べに来るほど評判の食事で、本当に大満足でした。
3日目|ホエールウォッチングと南島ツアー
まずは朝ごはんの紹介です。風土の家TETSUTA の朝食はは一日おきに洋食・和食と交互に変わります。
この日は「マッチの星空屋」さんの海ツアーに参加。
午前はホエールウォッチング。大ジャンプは見られなかったものの、何度かクジラの姿に出会えました。このツアーの合間、同じツアー参加者の何人かがシュノーケリングを楽しんでいました。時期的にまだ3月初旬ということもあり、私たちは参加しませんでしたが、透明な海の中にたくさんの色鮮やかな魚たちが泳いでいるのが見えて、とても羨ましく感じました。次回訪れるときは、必ず自分たちも海に潜って、あの景色を間近で体験したいと思いました。
お昼はてつやさんに用意していただいたお弁当を海辺で。
午後はいよいよ南島に上陸です。
ここは環境保護の観点から、1日の上陸者数が制限されており、ツアーでしか訪れることができません。さらに、島内では参加者の行動が厳しく管理されていて、歩く場所はきちんと決められており、勝手に道を外れて歩くことは禁止されています。
小笠原固有の植物が自生していたり、どこまでも手つかずの自然が広がっていて、「だからこそ守られてきた景色なんだ」と強く感じました。制限があるおかげで、この南島の美しさが未来に残っていくのだと思うと、むしろ感謝の気持ちが湧いてきました。
そして再び海へ。この日のクライマックスはなんといってもイルカの大群との遭遇でした。
最初に数頭を見つけたと思ったら、次々と姿を現し、気づけば海一面にイルカ!本当に数えきれないほどの大群で、ガイドさんも「こんなに出会えるのは珍しい」と驚くほどでした。
しばらくの間、ボートはイルカたちと並走。すぐ横でジャンプしたり、水面をすべるように泳ぐ姿に、参加者全員が歓声を上げっぱなしでした。
海とイルカと同じ時間を共有している——そんな奇跡のような体験で、涙が出るほど感動しました。
ツアー後は宿に戻り、人気の「USKコーヒー」でのんびり。再び小港海岸で夕日を見て、すっかりお気に入りの場所に。
宿に戻り夜の星空ツアーの前に夕食です。本日のてつやさんの夕食は・・・
夜は星空ツアー。天候がいまひとつで天の川は見られませんでしたが、ガイドさんの解説が素晴らしく、とても学びのある時間でした。
本日昼間のツアーで屋根付きボートではありましたが、足だけ外に出していたら3月だというのに真っ赤に!
4日目|母島日帰りツアー
この日は母島へ。朝食とお弁当を用意していただき、港まで送っていただきました。
父島からは「ははじま丸」で約2時間。小さな船なので揺れるときもありますが、到着した瞬間に感じる空気はまるで別世界。父島よりさらにのんびりとした雰囲気で、島全体が静かな時間に包まれていました。
母島には信号機もコンビニも映画館もありません。最初は不便かな?と思いましたが、実際に訪れると「何もない贅沢」という言葉がぴったり。時間がゆっくり流れていて、心がすっと解放される感覚でした。
ツアーでは島内をぐるっと案内していただき、都道の最南端碑やロース記念館、そして絶景が広がる展望スポットへ。どこを切り取っても絵になる風景で、特に海の青さは父島以上かも?と思うほど。自然そのものの迫力に圧倒されました。
ツアーの途中で立ち寄ったのは、母島唯一のスーパー。ここは観光客だけでなく、島の方々の生活の中心でもあります。特産のパッションフルーツを購入しました。
ガイドさんの話では、そのスーパーの目の前にある大きな木の下のベンチ。買い物帰りの主婦の方や地元の方が腰掛けておしゃべりする島の憩いの場だと伺い、その光景を思いうかべると、とても心が温かくなりました。
派手さはないけれど、こんな「何気ない日常風景」にこそ旅の醍醐味があると感じました。母島ならではののどかな時間の流れに、思わず自分もそのベンチに座りたくなるようなひとときでした。
半日ほどの滞在でしたが、母島の魅力は「素朴さ」と「自然の大きさ」を体で感じられること。次回はぜひ母島に宿泊して、夜空を見上げたり、島の人々との触れ合いをもっと楽しみたいと強く思いました。
そして宿に戻り今夜の夕食です。
5日目|ハートロックツアーと感動のお見送り
帰りの日も午前中いっぱい楽しみます。ポラリスさんの ハートロックツアー に参加。
いよいよ小笠原での最後のアクティビティ。午前中は「ポラリス」さんの人気ツアー ハートロックトレッキング に参加しました。
距離はおよそ7〜8km、標高差は約300m。数字だけ見ると軽いハイキングのようですが、実際はアップダウンが多く、戦跡や自然の中を進んでいく本格的なトレッキングです。
道中では、小笠原にしかない固有植物や、第二次世界大戦時に使われていた軍道やトーチカなどの戦跡を見ることができ、ただ歩くだけでなく「自然と歴史の両方を体感できる道」でした。ガイドさんの解説も丁寧で、歩みを進めるごとに小笠原の奥深さを実感します。
そして最後の急な坂道を登りきると、目の前に一気に視界が開け、そこに現れるのがハートロック。断崖絶壁の上から見下ろすと、海の青さと切り立った岩肌のコントラストが迫力満点で、まさに「息をのむ絶景」でした。名前の通り、岩がハート型に見えるその姿は写真以上の存在感。ここまでの道のりの疲れが一瞬で吹き飛ぶような感動の景色でした。
岩の上に腰を下ろして、てつやさんのおにぎりを頬張りながらしばしの休憩。風に吹かれ、眼下に広がる大海原を見つめる時間は、まさに旅の締めくくりにふさわしいものでした。
帰り道は来た道を引き返しますが、景色を味わいながらゆっくり歩くことで、往路とはまた違う発見があります。植物の形や鳥の声、そして何より「この島を離れたくない」という気持ちが大きくなっていきました。
その後は港へ直行。荷物を受け取り、再びおがさわら丸に乗船です。
名物のお見送り
帰り際、港では地元の方々が手を振ってくれます。小さな船で最後まで追いかけてきてくれる姿に胸が熱くなりました。これが有名な 小笠原流のお見送り。
旅を終えて
5日間の小笠原旅行。
「今まで生きてきて、これほどもう一度来たいと思った場所はない」──心からそう思いました。
次はもっとゆっくり滞在できる 2航海プラン(約12日間) で訪れたいです。
帰りの船も24時間の脱デジタル。思い出を振り返っているうちに、あっという間に東京へ。
小笠原の自然が、この先もずっと守られ続けてほしいと願うばかりです。
小笠原のお土産とスーパー事情
今回の旅で印象的だったのが、小笠原のフルーツと野菜の美味しさです。
特に パッションフルーツは初めて食べましたが、甘酸っぱくて濃厚な味わいが格別。デザート感覚でそのまま食べても良いし、ヨーグルトに入れても絶品でした。
さらに驚いたのは プチトマト。見た目は普通のトマトなのに、口に入れるとびっくりするほど甘く、まるでフルーツのよう!スーパーでお土産用に買い込んでしまったほど気に入りました。
ちなみに、小笠原のスーパーは父島・母島ともに船が到着する日が最も混み合います。島のライフラインは「おがさわら丸」が運んでくるため、船の入港直後は商品も豊富ですが、同時に島民や観光客で大賑わい。日用品や食材を買いたい場合は、このタイミングを狙うのがベストです。
小笠原に来たら、観光スポットだけでなく、ぜひスーパーにも立ち寄ってみてください。地元の人の暮らしを感じつつ、美味しいお土産探しも楽しめますよ。
宿泊先「風土の家 てつや」について
今回の滞在で一番心に残ったのは、なんといっても宿泊先の 「風土の家 てつや」 さん。父島にはリゾートホテルもありますが、食事と温かいおもてなしを重視したい方には断然おすすめの宿です。
客室はわずか3組限定。そのため、宿全体がとても静かで落ち着いており、スタッフの方々が本当に一人ひとりに行き届いたサービスをしてくださいました。大きなホテルにはない、家庭的で温かな心遣いを感じられるのが魅力です。
そして何より感動したのが お料理。どの料理も手作りで、地元の食材をふんだんに使ったメニューばかり。評判通り、毎回の食事が楽しみで仕方ありませんでした。
特に印象的だったのは、初日に港近くで挑戦して挫折した「カメ料理」。正直あの時はとても全部は食べられなかったのですが、ダメ元で哲也さんにお願いしてみたところ、宿オリジナルの調理法で作ってくださったんです。これが驚くほど美味しくて、同じ食材とは思えないほどの仕上がり。腕の良さと工夫で、こんなにも変わるのかと感動しました。
食堂には地元の方も訪れることがあるそうで、平日には島の人たちが楽しみに食べに来る「カレー」が名物だと聞きました。それだけ地元の方からも愛されている宿なんだなと実感。
宿の立地も静かで自然に囲まれ、部屋は広く快適。洗濯機や乾燥機、自炊用のキッチンも備わっているので、長期滞在や家族旅行にもぴったりです。
小笠原でどこに泊まろうか迷っている方に、胸を張っておすすめできる宿。それが「風土の家 てつや」さんです。少人数制だからこそ体験できる特別な時間と、絶品の食事は、この旅の大きな思い出になりました。
小笠原諸島まとめ:おすすめ時期・お土産・旅の注意点
🌴 おすすめの時期
小笠原は年間を通して温暖ですが、楽しみたいことによっておすすめの時期が変わります。
- 冬(12〜3月):ホエールウォッチングのベストシーズン。ザトウクジラの迫力ある姿が見られます。
- 春(4〜6月):南島上陸が解禁され、島の自然をたっぷり堪能できます。海も透明度が増して絶景!
- 夏(7〜9月):イルカと一緒に泳げる人気シーズン。マリンアクティビティを楽しみたい方に最適。
- 秋(10〜11月):観光客がやや落ち着き、島の暮らしや自然をゆったり味わえる時期。
「何を楽しみたいか」で旅の計画を立てると満足度がぐっと高まります。
🎁 おすすめのお土産
- 島レモンやパッションフルーツ:母島の名産で、香りが爽やか。ジュースやジャムも人気。
- 塩(ボニンブルーソルトなど):海水を使った天然塩で、お料理好きな方に喜ばれます。
- ラム酒(ボニンアイランドラム):南国らしい香り。限定品なので旅の記念にぴったり。
- オリジナルグッズ(Tシャツ・トートバッグなど):島のショップでしか買えないデザインが豊富。
⚠️ 旅の注意点
- 船移動は必須(片道24時間):飛行機はないため、必ず「6日に1度の小笠原丸」に合わせて予定を組む必要があります。
- 船酔い対策:天候によっては大きく揺れるので、酔いやすい方は酔い止め必携。
- 脱デジタル:島内はほぼ圏外。連絡や調べ物は出発前に済ませておきましょう。
- 自然保護のルール遵守:靴裏の洗浄や上陸人数制限などは厳格です。小笠原の自然を守るために必ず従いましょう。
- 現金の準備:島内はキャッシュレス未対応の場所も多いため、多めに持参すると安心です。